Case study 事例

PATAC(中国上海の自動車開発メーカー)

  • 導入事例

導入内容

時期
2020年10月
モデル
K350/SA50HAM

※導入後の稼働状況を踏まえたうえで公開する許可をいただくため、導入時期と本情報の公開時期にタイムラグが生じることをご了承ください。

About company (会社について)

Pan Asia Technical Automotive Center(以下、PATAC)は、1997年に米ゼネラルモーターズ(以下、GM)と中国上海汽車が共同設立した、新車開発やテストなどを行う合弁会社で、当時約3億ドルを投じて車両試験場を建設しています。

PATACは上海GMがGMグループの車種を製造するにあたり、他国の仕様をそのまま導入するのではなく、中国人の好みに合う内外装などを取り入れることで、中国市場における商品力向上を行っています。また、近年は新エネルギー車の開発や試験にも力を入れており、最新鋭の設備の導入に積極的な投資を続けています。

http://www.patac.com.cn/EN/index.html?v=1005

Customer challenge (顧客の課題)

PATACは、中国での電気自動車(以下、EV)化を加速させる重要なプロジェクトの一つとして、大型バス用の電池パックを開発する計画を始動しました。今までにない大きさのLi-ion バッテリパックの振動耐久性を評価するため、世界最大級の試験台と、過酷な振動を再現することができる大型振動発生機(加振機)がIMVに求められました。

これまでPATACで使用してきた他社製の試験装置は稼働の安定性に問題があり、評価及び開発スケジュールの遅延などを招いていまいた。そのため、今回の装置は、より信頼性が高く、メンテナンス性に優れたものとなるよう、米GMも含めて慎重に審査が行われました。

IMV solution (IMVの提案)

PATACからの要求に応じるため、IMVの最上位機種であるK350をカスタマイズして提案するプロジェクトを立ち上げました。K350はIMVの上野原サイト高度試験センターで長年に渡って稼働しているモデルで、発電所の大型機器やEV用のバッテリパックなどの試験で多くの実績を有し、高い信頼性とメンテナンス性を誇っています。

今回、IMVは、K350に付属させる3x3m の補助テーブルを新たに設計し、さらに恒温恒湿槽との複合運転にも耐えられる熱絶縁設計にするなど、高度な技術的要求に応えました。

更に米GMからの強い要望で、システム全体を統括管理するソフトウェア用のインターフェースを用意する必要がありました。

IMVのソフトウェア開発チームと統合システムを開発した会社との間で、入念なチェックを行い、IMVの振動制御器K2を統合システム上で操作できる環境を提供することができました。

Customer benefits (顧客のメリット)

PATACは今回の設備投資により、世界最大級のバッテリパック用振動試験装置を手に入れることができました。この試験装置は、今後見込まれるバッテリパックの大型化に十分に対応することができ、加えて過酷な温度環境下で受ける動的ストレスの評価も安定して行うことができます。これは、IMVの上野原サイト高度試験センターで行われてきたバッテリパック試験で得たノウハウや試験者からの意見が設計に反映されたもので、PATACからの要求を高いレベルで満たしています。

今後、PATACがこの試験装置を活用し、より信頼性の高い安全な新エネルギー車を開発してくれるものと信じています。https://youtu.be/z2bp8i6bMwc

なお、本記事掲載時において、3x3mの補助テーブル及び充放電機能を有する35トンの複合試験装置は世界中でPATACしか保有していません。